e-Sports Earnings というサイトにて 賞金ベース でeSports競技シーンランキングの2016年版が公開されているのでチェックしてみたいと思います.情報は公式で発表されている分を有志の方々がまとめているものになりますので,必ずしも正確な数値ではないですし,全ての...
e-Sports Earningsというサイトにて賞金ベースでeSports競技シーンランキングの2016年版が公開されているのでチェックしてみたいと思います.情報は公式で発表されている分を有志の方々がまとめているものになりますので,必ずしも正確な数値ではないですし,全てのゲームについて網羅されているものでもないですが,ランキングが変わる程度に差が出るものでもないかなと思いますので指標にはなるです.
先日ポストしたESPNのアンケート結果の紹介記事にて給料について触れましたが,書き方として彼らは年間平均で$1Mしか稼げない訳ではない,という部分を伝えきれていない事がありました.なので+αの部分である大会賞金についてもチェックしていきたいと思います.
e-Sports Earnings is a community-driven competitive gaming resource based on freely available public information. The accuracy of this website is dependent on user contributions. More help is always welcome.
早速ランキングを見ていきます.
1位は2位のCS:GOに比べてダブルスコア以上の差をつけることとなったDOTA2.世界大会である“The International”の賞金が年々高額化している話はあちこちで話題になっているので,最早驚くほどでもないかもしれませんね.歴史も長いですが,トーナメントの数は意外と多くはなく,その分高額賞金の大会が多数あると考えて良さそう.プレイヤーベースで考えてもDOTA2はLoLに比べると人口は少ないですが,クラウドファンドによって賞金を用意するという手法が非常に有効であることが分かると思います.
2位はValveのノウハウをフルに活かし,その規模を拡大した結果,前年の3倍弱にまで成長したCS:GOのeSportsシーン.Valve以外による外部リーグの設立が相次ぎ,トーナメント数が増えたことが大きいと言えそうです.DOTA2,LoLがそれぞれ118トーナメント,122トーナメントとなっている一方で851トーナメントが行われています.NBAチームによる買収が相次ぎ,ELEAGUEの本格始動がその中心だと思いますが,選手によるリーグの設立など他にも話題は多かったように思います.高額賞金の大会はまだ多くはないもののこの賞金総額となっているということから,上から下まであると考えれば,eSports参入の間口として非常に広いと考えることもできそうです.DOTA2に比肩するレベルに至るのか,注目していきたいところです.
世界最高の同時接続数を誇るもののeSportsシーンの規模としてはやっと3位といった具合ですが,昨年から賞金にファンが投資できるようになりました.そのため世界大会であるWCSの賞金は決して安いものではなくなり,DOTA2に次いで2位.賞金が全てではないものの,長い目で見れば選手の育成,シーンの維持に繋がっていることになりますのでクラウドファンドによる賞金の確保というのは続けていってもらいたいですね.BAMTechとの提携によってこの規模がどの程度拡大していくのかこちらも引き続き観察していきたいところです.
このランキングの中で注目できそうなのはやはりOverwatchになると思います.新作タイトルに近い作品,ましてその競技シーンながらtop10に入ることとなっています.始まったばかりだからこそこの額なのかもしれませんが,このまま成長を続けていけばFPSにおけるCSの牙城を打ち崩す事ができるのかもしれません.地域のフランチャイズによって広く長く続けていく土台を作っていますので,期待ができそうですね.Hearthstoneも順調に伸びていますから,業界としてはValve,Riotに次いでBlizzardの名前が大手として加わることになります(RiotとBlizzardの母体は同じですが).
また,シリーズとしては古めの作品となるCoD:BOIIIの競技シーンも成長を続けており,SONYがリーグに対して出資する動きというものが見られます(Call of Duty World League).SONYはグループとしてできることも多いので,今後の動きに注目できそうです.同様に業界の巨人であるMicrosoftも動いており,HCS - Halo Championship Seriesを創設し競技シーンを作ることでeSports業界への参入を果たしています.
一方でeSportsを見据えた,競技性の高いゲームとして登場したSmiteですが,開発であるHi-Rezの方向性からか,規模を縮小することとなっています.こちらはOverwatchのライバルとしてリリースされたPaladinsに移行するためであると考えられそうですが,今のところ情報は出てこず.新陳代謝が高すぎるというのは競技性・ファン定着と相性が悪いようにも見えますので,どのように競技性を高めてファンを集めていくのかという点は気になるところです.
大会の賞金をまとめると結構な額になることが分かりました.では実際この賞金はどこに行くのかといえば,選手たちです.e-Sports Earningsのプレイヤーベースでの集計結果もチェックしてみます.
このリストというのは単純計算で各トーナメントでの順位に対する賞金をチームメイトで分配したとして計算した時の和になっていますが,実際は何人で分配するのか(サブを含むかなど)によって変わってきますので必ずしもこの額受け取っていないことには注意が必要です.
ということで,賞金総額で他を圧倒していたDOTA2ですがそれらがそのまま反映されており,当然プレイヤーベースでみてもランキングを席巻しています.中国のチームが優勝していることからその選手たちが多く賞金を獲得することとなっているのが分かります.また,続く順位のプレイヤーもランクインしており,それぞれ高額の賞金を持ち帰っていることになります.また% of Total(生涯獲得賞金に対する昨年の賞金が占める割合)が100%に近い選手がランキングの半数を占める一方で,80%以下ないしは50%以下となっている選手も多くいる事から,ルーキーからベテランまで幅広く稼いでいるといえそうです.
21位からLoL世界大会優勝チームの面々が入ってきているものの,額としては控えめ.とはいえ長年WCSのMidに君臨し続けてきたFaker選手ですら生涯賞金総額の半分近くを昨年稼いだことになりますので,賞金の増額というものが選手に対して与える影響は大きいと言えそうです.とはいえDOTA2,そして続いて出て来るCS:GOの面々にも% of Totalが100%に近い選手が数多く居ることを踏まえるとLoLは若手の育成がうまく行われていないと捉えることができるのかもしれません.生涯賞金総額とLoLについてはまたの機会にまとめたいと思いますがいつになることやら.
そして続いてくるのがCS:GOやHalo,CoDのプレイヤーになります.CS:GOの選手に関しては上から下まで存在している感じで,幅広い賞金の大会が開かれているからこそなのかなといったところ.キャリア(年齢)や国籍も幅広いので,間口の広さはこんなところからも伺えますね.FPSはアクションですから見た目の分かりやすさや映像の動き的に“スポーツらしさ”があるのも広く受け入れられる要因かもしれません.
賞金の伸び方を見ていると,2015年から昨年に入って急増した印象を受けます.テレビ業界の介入のあったCS:GOの成長が特に著しいということを考えると,Overwatchも同様に伸びてきそうな気配があります.Riotも色々と策を講じていることからLoLも大きく成長をするのではないかと思いますが,実際には本格始動を開始する(といっている)2018年以降が本命になりそうではあります.
今年もいろいろな動きが見られると思いますが,このまま増えていけば$100Mil,100億円は超えるのは間違いなく(集計によっては既に超えている可能性も),来年には150億円程度の賞金規模になると考えられます.急成長を遂げているeSportsですが,このままどこまでいくのか,社会的な認知の部分も含めて目が離せない1年になりそうです.
先日ポストしたESPNのアンケート結果の紹介記事にて給料について触れましたが,書き方として彼らは年間平均で$1Mしか稼げない訳ではない,という部分を伝えきれていない事がありました.なので+αの部分である大会賞金についてもチェックしていきたいと思います.
e-Sports Earnings is a community-driven competitive gaming resource based on freely available public information. The accuracy of this website is dependent on user contributions. More help is always welcome.
早速ランキングを見ていきます.
DoTA2
1位は2位のCS:GOに比べてダブルスコア以上の差をつけることとなったDOTA2.世界大会である“The International”の賞金が年々高額化している話はあちこちで話題になっているので,最早驚くほどでもないかもしれませんね.歴史も長いですが,トーナメントの数は意外と多くはなく,その分高額賞金の大会が多数あると考えて良さそう.プレイヤーベースで考えてもDOTA2はLoLに比べると人口は少ないですが,クラウドファンドによって賞金を用意するという手法が非常に有効であることが分かると思います.
CS:GO
2位はValveのノウハウをフルに活かし,その規模を拡大した結果,前年の3倍弱にまで成長したCS:GOのeSportsシーン.Valve以外による外部リーグの設立が相次ぎ,トーナメント数が増えたことが大きいと言えそうです.DOTA2,LoLがそれぞれ118トーナメント,122トーナメントとなっている一方で851トーナメントが行われています.NBAチームによる買収が相次ぎ,ELEAGUEの本格始動がその中心だと思いますが,選手によるリーグの設立など他にも話題は多かったように思います.高額賞金の大会はまだ多くはないもののこの賞金総額となっているということから,上から下まであると考えれば,eSports参入の間口として非常に広いと考えることもできそうです.DOTA2に比肩するレベルに至るのか,注目していきたいところです.
LoL
世界最高の同時接続数を誇るもののeSportsシーンの規模としてはやっと3位といった具合ですが,昨年から賞金にファンが投資できるようになりました.そのため世界大会であるWCSの賞金は決して安いものではなくなり,DOTA2に次いで2位.賞金が全てではないものの,長い目で見れば選手の育成,シーンの維持に繋がっていることになりますのでクラウドファンドによる賞金の確保というのは続けていってもらいたいですね.BAMTechとの提携によってこの規模がどの程度拡大していくのかこちらも引き続き観察していきたいところです.
4-10位
このランキングの中で注目できそうなのはやはりOverwatchになると思います.新作タイトルに近い作品,ましてその競技シーンながらtop10に入ることとなっています.始まったばかりだからこそこの額なのかもしれませんが,このまま成長を続けていけばFPSにおけるCSの牙城を打ち崩す事ができるのかもしれません.地域のフランチャイズによって広く長く続けていく土台を作っていますので,期待ができそうですね.Hearthstoneも順調に伸びていますから,業界としてはValve,Riotに次いでBlizzardの名前が大手として加わることになります(RiotとBlizzardの母体は同じですが).
また,シリーズとしては古めの作品となるCoD:BOIIIの競技シーンも成長を続けており,SONYがリーグに対して出資する動きというものが見られます(Call of Duty World League).SONYはグループとしてできることも多いので,今後の動きに注目できそうです.同様に業界の巨人であるMicrosoftも動いており,HCS - Halo Championship Seriesを創設し競技シーンを作ることでeSports業界への参入を果たしています.
一方でeSportsを見据えた,競技性の高いゲームとして登場したSmiteですが,開発であるHi-Rezの方向性からか,規模を縮小することとなっています.こちらはOverwatchのライバルとしてリリースされたPaladinsに移行するためであると考えられそうですが,今のところ情報は出てこず.新陳代謝が高すぎるというのは競技性・ファン定着と相性が悪いようにも見えますので,どのように競技性を高めてファンを集めていくのかという点は気になるところです.
誰がいくら貰っているのか
大会の賞金をまとめると結構な額になることが分かりました.では実際この賞金はどこに行くのかといえば,選手たちです.e-Sports Earningsのプレイヤーベースでの集計結果もチェックしてみます.
このリストというのは単純計算で各トーナメントでの順位に対する賞金をチームメイトで分配したとして計算した時の和になっていますが,実際は何人で分配するのか(サブを含むかなど)によって変わってきますので必ずしもこの額受け取っていないことには注意が必要です.
ということで,賞金総額で他を圧倒していたDOTA2ですがそれらがそのまま反映されており,当然プレイヤーベースでみてもランキングを席巻しています.中国のチームが優勝していることからその選手たちが多く賞金を獲得することとなっているのが分かります.また,続く順位のプレイヤーもランクインしており,それぞれ高額の賞金を持ち帰っていることになります.また% of Total(生涯獲得賞金に対する昨年の賞金が占める割合)が100%に近い選手がランキングの半数を占める一方で,80%以下ないしは50%以下となっている選手も多くいる事から,ルーキーからベテランまで幅広く稼いでいるといえそうです.
21位からLoL世界大会優勝チームの面々が入ってきているものの,額としては控えめ.とはいえ長年WCSのMidに君臨し続けてきたFaker選手ですら生涯賞金総額の半分近くを昨年稼いだことになりますので,賞金の増額というものが選手に対して与える影響は大きいと言えそうです.とはいえDOTA2,そして続いて出て来るCS:GOの面々にも% of Totalが100%に近い選手が数多く居ることを踏まえるとLoLは若手の育成がうまく行われていないと捉えることができるのかもしれません.生涯賞金総額とLoLについてはまたの機会にまとめたいと思いますがいつになることやら.
そして続いてくるのがCS:GOやHalo,CoDのプレイヤーになります.CS:GOの選手に関しては上から下まで存在している感じで,幅広い賞金の大会が開かれているからこそなのかなといったところ.キャリア(年齢)や国籍も幅広いので,間口の広さはこんなところからも伺えますね.FPSはアクションですから見た目の分かりやすさや映像の動き的に“スポーツらしさ”があるのも広く受け入れられる要因かもしれません.
eSports in 2017
賞金の伸び方を見ていると,2015年から昨年に入って急増した印象を受けます.テレビ業界の介入のあったCS:GOの成長が特に著しいということを考えると,Overwatchも同様に伸びてきそうな気配があります.Riotも色々と策を講じていることからLoLも大きく成長をするのではないかと思いますが,実際には本格始動を開始する(といっている)2018年以降が本命になりそうではあります.
今年もいろいろな動きが見られると思いますが,このまま増えていけば$100Mil,100億円は超えるのは間違いなく(集計によっては既に超えている可能性も),来年には150億円程度の賞金規模になると考えられます.急成長を遂げているeSportsですが,このままどこまでいくのか,社会的な認知の部分も含めて目が離せない1年になりそうです.