変わりゆくNA LCSのフランチャイズがそろそろ発表になるということで事前に漏れていた内容を軽くまとめておきます.2018年がどういった年になるのか,懸念についても軽く触れておきます.
なんだか最近耳にするNA LCSのフランチャイズ制ですが,一体どんなチームが参加するのか,といったところが分かりづらい部分もあるので再確認してみます.LoLのゲームそのものでもマスタリー&ルーンの再編を行うことで新生しようとしていますが,NA LCSも再編し上手く新生できるのか...はて...
NA LCSの仕組みが変わていった経緯については,昨年まで話を戻さなければなりません.ことの発端はNA LCS,EU LCSのチームが運営に際して資金不足の声を上げ始めたことにあります. その一番の原因としてRiotのチームに対する厳しい縛りがありました.
LoLプロシーンLCSの光と影 - #LCSForever が意味するものとは
これまでのRiotとLCSチームの関係性というのはお世辞にも良好ということはできませんでした.Riotはリーグ参加料や出場に伴ってのコンテンツ作りの協力をLSCチームに課していたものの,その見返りは限りなく0に近く,チームの負担が増える一方であったことから,運営に窮したチームがまとまって抗議するという事態に陥っていました.
また,そういった抗議を受けてのRiotの対応というのも好まれるものではなく,対立の溝を深めるような言動も見受けられていました.あくまでチームが運営の危機に陥っているのはチームの責任で,Riotは一定の支援をしているという主張は当時のチームの主張とは真逆の内容となっていました.
実際外から見ていても,観客動員という意味では世界最大級のThe Internationalにも匹敵する規模で毎年大会が開催されており,eSportsゲームとして世界中で広く認知されていたにも関わらず,ルールブック上のチームの支援項というのは長年更新されていない状態でした.特に2015年末辺りから,チームの買収といった動きというのは活発化しているようにも見え,外部から資金を調達できたものが生き残っているようにすら感じられていた状態で,長年リーグを支えてきたTSMやCLG,C9といったチームの運営は厳しそうだというのは明らかでした.
#LCSForever 論争再び - 漏洩したRiotとLCSチームのやりとり
結局誰がリークしたものなのかは不明なものの,おそらくオーナー側の誰かがファンを巻き込むことを目的としてリークしたのではないかと考えられます.ここでNA LCSのリーグフランチャイズ化というものが進行中であったと明るみになったことになります.実際このリークに対しては様々な意見があったようでしたが,NAのファンからは大きな反対の声というのは無かったように思います. NAは野球など多くのスポーツにおいてフランチャイズ制度というものが成功している地域ですから,ファンとしても制度採用に賛成という立ち位置だったのかもしれませんね.
一方大きくなったシーンにおいて選手の契約料は数倍になり,"Riotからの"要請によってスタッフを何人も雇用する必要も出てきた中で,Riotからチームへ資金提供する場面というのが非常に限られていたのが問題になってきた事になります.大きくなったリーグにおいては昔ながらの規模感では太刀打ち出来ないような巨額の資金がうごめいている状態になっていたわけです.よってRiotとしても扱ったことのない領域においてどのようにこのコンテンツをマネタイズし,盛り上げていけば良いのか舵取りができない状況になっていたのではないかと推測できます.
そして昨年12月ついに,eSportsシーンを外部のメディアと連携することでマネタイズすることを発表しています.
Riot GamesのパートナーはMLBに決定 - BAMTechとは何か,何が変わるのか
MLBのメディア部門というべくBAMTechですが,ストリーミングに関しては経験,知識,技術力と三拍子揃っていることから連携に踏み切ったのではないかと考えられます.またMLBとしても下火になりつつある中で若年層のファン獲得に繋がるeSportsシーンへの投資は行っておきたいという,色々な魂胆が見え隠れする提携ではあります.
ということで現在出回っている情報をもとに,どのグループが来年,そして今後永遠のフランチャイズチームとなりそうなのかを確認していきたいと思います.
今も昔もNA LCSの顔というべきTSMですが,フランチャイズ入りするようです.組織としては必ずしも大きいとはいえないもののスポンサーも多く,今回のフランチャイズ制度というものそのものを導入するに至ったきっかけでもあるReginald氏が率いていたということもあるのでしょうか.
TSMやC9,TL同様に息の長いCLGもEndemic(元から居た)チームとして来年以降も参加できるとのこと.CLGはもともとRazerが長年デバイスを提供しているスポンサーでしたが,昨年WCSが開催されたMadison Square Gardenを運営するMadison Square Garden companyに買収され,その傘下に入ることとなりました.Madison Square GardenはNA LCSの決勝戦などでも使われていますし,eSportsだけでなくスポーツチームも有しています.
NA LCSきってのストリームおちゃらけ野郎達ことSneaky,Meteos,Bunnyといったタレントを抱えつつもなんだかんだでWorldsの場ではLast HopeとなってしまっていたC9ですが,オーナーJackはしたたかに資金調達を上手くこなしていたイメージで,やはり残留が可能とのこと.
C9はLCSシーンだけでなく,CS:GOではレジェンドのN0thing選手を擁していたり,PUBGでも話題のShroud選手,スマブラではMong0選手なども所属しているように幅広いゲームタイトルでも強豪となっています.またLoLに次ぐ人気のOverwatchへの投資も盛んで,着実に戦果を上げている様子で,グループ全体の状況としても安定していそうなのが大きいのかもしれません.こういった名実ともに安定した背景には一大PCデバイスメーカーであるLogitechが居たということも大きく関係していそうですね.
Team Liquidも歴史を見てみると長い印象を受けます.何度かNA LCS残留の危機にあっていたりもしましたが,なんとかフランチャイズ入りは可能なようです.Team LiquidはCSシーンの下部組織としてAcademyがありましたが,TLA出身のLCS選手が居ますから若手選手育成の意味でも重要な役割を担っていました.
NBAのスター選手Rick Foxによって昨年結成されたチームですが,Froggen選手などを迎えることでそこそこの成績を収めました.参入理由は色々と考えられますが,バックにNew York Yankeesがついたことも大きそうです.
またストリートファイター部門は日本人のTokido,Momochi,Chocoblankaの3選手と契約をしています.これから手を広げていくといったところなのでしょうか.
C9の弟チーム(メンバー的には兄?)ともいうべくFlyQuestは一時期成績も目立ったものではなかったことから,フランチャイズ入りが難しいのではないかと言われていましたが参入するようです.チームそのものはNBAチームMilwaukee BucksオーナーのWesley Edens氏に買収されたと報告しています.
LoLというゲームがサービス開始するよりも昔からeSportsという世界で戦っていたOpTic Gamingが参入するようです.2006年にCoDのプロチームとして設立され,HaloなどのFPSで数々のタイトルを有している強豪チームです.また今年のeSports Team of The Yearにも選出されています.またYoutubeチャンネルも好評で,現在140万弱の登録者がいるようです.
NBAリーグにおいて3番目,26億ドル(2600億円)以上の価値のあるとされるGolden State Warriorsのオーナーが参入への意思を受け入れられたとのこと.チーム名は未だ不明なもののGolden Guardiansという名前が有力なようです.
上記GSWほどではないものの,NBAリーグにおいて11番目,チーム価値としては12億ドル以上とされるCleveland CavaliersはNBAだけでなくNA LCSにおいても彼らと競い合う関係になったことになります.
Houston Rocketsは上記2チームと同様にNBAのチームとなります.Houston RocketsはTilman Fertittaという投資家によって22億ドルで買収されており,昨年12月にArchonというチームのCEOであったSebastian Park氏をeSports部門開発のヘッドとして迎え入れています.その開発の一環としてLCS参入の申請をしたと考えられていますが,なぜ彼らが受理されたのかは未だ不明な点も多そうです.
チーム名は地元ヒューストンのニックネームであるClutch CityからとってClutch City Gamingとする予定とのことです.
ImmortalsはHuni選手やReignover選手といった前年のスター選手と契約することで2016年のNA LCSの春ではほぼ向かう所敵なしの状態でした.今年に入って選手の入れ替わりがあったことから,序盤は芳しい実績ではなかったものの,後半夏では調子を取り戻しているようにも見えます.彼らが拒否されたことは結構な話題になったようにみえ,その理由についてはOverwatchへ入れ込みすぎているからという推測と,NA LCSにおける選手給料爆上がり問題を引き起こしたから(fnaticやCLG,TSMからスター選手を引き抜いている訳です)というものが多いように感じました.また,彼らはスポンサーが少なく,経営状態については不透明だったことも少し影響しているのかなという印象を受けます.
EnVyに関しては,投資を各方面から受けているものの,フランチャイズ入りをOverwatchでも断られていると報じられており,何か裏があるのかと勘ぐってしまいます.またP1についてはディズニーグループでのマネージメント経験も合ったRob Moore氏が運営に携わっていたものの,こちらもフランチャイズ入りを拒否されています.Echo Foxよりかは脈があるのではないかなと思っていたのですが,そうもいかなかったようです.
プロシーンにおいて影響力の強いタレントを数々排出している,Dignitasもまたフランチャイズ入りを拒否されてしまっています.C9 Ray選手,SSG Core JJ選手,P1 Zig選手や日本でも活躍していたShrimp選手,またキャスター・解説のJatt氏,Crumbz氏,ストリーマーのImaqtpie氏,Scarra氏,Voyboy氏などのビッグネームが多数所属していたチームであり,NA LCSに対する貢献というのは大きかったように思います.過去には強豪として名を馳せていたものの,近年での戦績は芳しいものではなく,残念ながらNA LCSからは去っていく存在となってしまいました.
そういったスポットを求めて数十億ドルもの市場価値を持つチームや投資家が続々と参入
しており,いよいよ何かが起こりそうな,始まりそうな雰囲気です.誰がその中で主導権を握るのか,メディア権の動きなんかも少し注目となりそうですね.
彼が懸念するのはお金で選手を買収していくスタイルが最初の数年見られるのは間違いなく,選手の局在化が起こってしまうと同時に,果たしてその給料がチームが市場から受け取る利益と釣り合うのかすら分からない状態だからだとしています.
RiotはBAMTechと提携し(勿論親会社にはTencentが居ますが)何かを画策しているのは間違いないでしょうが,来年の計画や長期的な戦略を公表はしていません.初期の段階ではBAMTechが投資する予定としていますが,それでも現状のままスタートするとすればRiotもチームも赤字な訳です.
もしBAMTechやRiotの施策が上手く行かず,市場でのマネタイズが計画通りではなかった場合これまでのNA LCSとなんら変わりがなかった,ないしは赤字が増えるだけという結果になりかねない訳です.上記チームには多くの場合非常に強大なスポンサー,親会社が付いているものの,それでも赤字のチームや市場の投資を続けようという判断にはならない訳で,彼らは手を引いていてしまい今の状況と変わらないもの,ないしは赤字がかさみ経費削減でオンライントーナメントになってしまうのではないかとすら冗談で述べています.
そんな赤字な状況の中だからこそ給料にcap,上限を設けたほうがいいのではないだろうか,そうすることでチームの赤字を食い止め,選手の局在化を避ける方向に進んだほうが良いと論じています.
実際に考えてみれば,未だにRiotは具体的な数値というものを明らかにしておらず,例えば来年のチームロゴアイコンをいくらで売るつもりなのか?マーチャンダイズは?来年Springの日程は?優勝賞金は?WCSの賞金は?開催地は?といったチームが運営を考える上で非常に重要な要素を公開していません.フランチャイズ化という変動が合ったと言い訳できなくもないでしょうが,MLBを例としてみれば彼らは9月には2018年のスケジュールを公表しており,チーム・選手もそれに従って計画を立てることができます.
こういった不透明な状況で,選手の給料を上げていくのは市場の破壊につながるとしてcapを設けたほうが良いという主張には一理あるように見えてきます.
また,選手のキャリアという点についても個人的には課題と思っており,彼らが10代~20代の大事な時期を捧げるのにふさわしい見返りを提供できるような環境の整備というのも大事なのではないかなと感じています.
LoLが大学のカリキュラムに採用されていたり,若手選手の育成にも力を入れることでそいった課題に対応しようという動きが見えますが,それもNA LCSが成功してこそだろうということで,今回のフランチャイズ制度が上手く機能してくれることを祈るばかりです.
NA LCSの再構成
Riotとチームの対立
これまでについては以下にてまとめています.LoLプロシーンLCSの光と影 - #LCSForever が意味するものとは
これまでのRiotとLCSチームの関係性というのはお世辞にも良好ということはできませんでした.Riotはリーグ参加料や出場に伴ってのコンテンツ作りの協力をLSCチームに課していたものの,その見返りは限りなく0に近く,チームの負担が増える一方であったことから,運営に窮したチームがまとまって抗議するという事態に陥っていました.
また,そういった抗議を受けてのRiotの対応というのも好まれるものではなく,対立の溝を深めるような言動も見受けられていました.あくまでチームが運営の危機に陥っているのはチームの責任で,Riotは一定の支援をしているという主張は当時のチームの主張とは真逆の内容となっていました.
実際外から見ていても,観客動員という意味では世界最大級のThe Internationalにも匹敵する規模で毎年大会が開催されており,eSportsゲームとして世界中で広く認知されていたにも関わらず,ルールブック上のチームの支援項というのは長年更新されていない状態でした.特に2015年末辺りから,チームの買収といった動きというのは活発化しているようにも見え,外部から資金を調達できたものが生き残っているようにすら感じられていた状態で,長年リーグを支えてきたTSMやCLG,C9といったチームの運営は厳しそうだというのは明らかでした.
降格への恐怖
規模が大きくなったリーグにおいて運営費はかさんでしまうことから,リーグに生き残れず降格すればチームは解散,新しい昇格チームを別の運営が買収するという構図が出来上がってしまっていました.これがスポンサー獲得を困難にし,撤退を促進しており結果的にチームの運営を厳しくしている主な原因となっていました.確固たる収入の確保の手段としてChallengerチームをBoostさせ,LCSチームへと昇格し,枠を売却する方法があり,実際に今シーズンC9によって行われています(売却については未定なものの,可能性は高いとされています).チームへの支援は大会規模・ゲーム規模の成長に比例することはなく,昇/降格のシステムが存在していることからスポンサーも付きづらかったことにより,資金難になっていたことがフランチャイズ制への呼び声になっていました.
リーグ再編への動き
資金難によりチームとRiotの対立関係が明らかになったのが,昨年の前半でした. そしてその後Riotとチームオーナーが協議をしているようだが,依然溝は埋まっていないようだということがリークされたのが昨年の後半,秋頃です.#LCSForever 論争再び - 漏洩したRiotとLCSチームのやりとり
結局誰がリークしたものなのかは不明なものの,おそらくオーナー側の誰かがファンを巻き込むことを目的としてリークしたのではないかと考えられます.ここでNA LCSのリーグフランチャイズ化というものが進行中であったと明るみになったことになります.実際このリークに対しては様々な意見があったようでしたが,NAのファンからは大きな反対の声というのは無かったように思います. NAは野球など多くのスポーツにおいてフランチャイズ制度というものが成功している地域ですから,ファンとしても制度採用に賛成という立ち位置だったのかもしれませんね.
一方で創立メンバーという名のフランチャイズ制に参加する側としては,その枠確保のためにどうすればよいのかというのが気になります.だからこそ,今回のようにNAのチームオーナー達は慌てていることになり,このまま利益のないリーグに出資し続けても良いのかどうか判断できない状態になっているのだろうとのこと.世界一の人口を誇るゲームのeSportsシーン,そのフランチャイズ枠のためにそれこそコカコーラのような超大企業が,現在参加しているようなチームが賄うことの出来ないような額の出資をすることは目に見えています.そうこうしているうちに時は流れ当時期日と設定されていた12月に入った頃にRiotからMLBの子会社MLBAMとの提携話が持ち上がることとなります.
eSportsのマネタイズ
結局のところRiotとチームの関係が芳しくなくなってしまったのは資金問題によるところも大きかったのではないか,というのはそれまでに出ていた数字の話を見ていると感じることができます.LCS黎明期においてRiotはチームへの援助を惜しむことなく,選手たちに最低賃金が支払われるような仕組みを用意していたことで,eSportsシーンというものがそれまで以上に大きくなったというのは間違いのないことでしょう.一方大きくなったシーンにおいて選手の契約料は数倍になり,"Riotからの"要請によってスタッフを何人も雇用する必要も出てきた中で,Riotからチームへ資金提供する場面というのが非常に限られていたのが問題になってきた事になります.大きくなったリーグにおいては昔ながらの規模感では太刀打ち出来ないような巨額の資金がうごめいている状態になっていたわけです.よってRiotとしても扱ったことのない領域においてどのようにこのコンテンツをマネタイズし,盛り上げていけば良いのか舵取りができない状況になっていたのではないかと推測できます.
そして昨年12月ついに,eSportsシーンを外部のメディアと連携することでマネタイズすることを発表しています.
Riot GamesのパートナーはMLBに決定 - BAMTechとは何か,何が変わるのか
MLBのメディア部門というべくBAMTechですが,ストリーミングに関しては経験,知識,技術力と三拍子揃っていることから連携に踏み切ったのではないかと考えられます.またMLBとしても下火になりつつある中で若年層のファン獲得に繋がるeSportsシーンへの投資は行っておきたいという,色々な魂胆が見え隠れする提携ではあります.
Riot games’ creators, Marc Merrill and Brandon Beck, are “still investing millions into esports without profit.” That’s right—the biggest and most popular esports league in the world continues to operate at a loss.
from TEO
またLCSシーンにおいては基本的に赤字運営だったことも報じられており,こういった危機的状況が重なったことによりRiotとしても最早限界で,リーグのマネタイズとシステム再編は至急の課題でもあった事になります.NA LCSのフランチャイズ制度
そして今年6月に正式にNA LCSのリーグがフランチャイズ制度(Riotが呼ぶところのPermanent Partnership)を採用することがアナウンスされました.Starting in 2018, teams that participate in the NA LCS will be there as permanent partners of the league. Teams will be selected from an application process (more details on that below) meaning they won't face relegation or have to fight for the right to compete as a new org via a promotion tournament.詳細については非常に細かく解説&理由付けがされており,プレイヤー,チーム,Riotで利益をシェアすること,マネタイズの強化などが話されています.そして気になるのが,チームの選考になっていたわけです.
Developing a strong league depends on finding aligned partners who are motivated to help evolve the sport and create teams that pro players are proud to represent. During Phase One, we'll be partnering with expert third parties, asking teams to give us some details about their plans for their NA LCS team and organization.選考ステップや状況についてはRiotが明らかにするものでもないとは思いますが,結局どこからともなく,というかESPN独占に近い形で,どのチームがエントリーし,通過しているのか,落選しているのかなどがリークされている状態になっています.特に3phaseある選考の中でも今回話題になっているのが第2phaseになります.
During phase two, we'll go through a thorough review of the team's proposal, including in-person presentation and Q&A, as well as some deeper dives into finances, credit checks, and background checks for the owners. We understand that this will be a major time commitment, but we're looking for organizations that will be stable, professional, well-funded and committed to creating a rewarding environment for the pro players that work for them.このphaseではチームそれぞれの経済状況やオーナー側の出自が調べられるとしています.Riotとしてもフランチャイズ制度を採用しチームを固定してしまう以上,既に経営が不安定でないか,オーナーの資金の出処が不透明でないかどうか等は重要な要素になっていることから,ここで篩いにかけることとしている訳です.
ということで現在出回っている情報をもとに,どのグループが来年,そして今後永遠のフランチャイズチームとなりそうなのかを確認していきたいと思います.
選ばれし10チーム
結果的に選考を通過したとされるチームはTSM, CLG, C9, TL, Echo Fox, Fly, OpTic, Golden State Warriors, Cleveland Cavaliers, Houston Rocketsとなります.それぞれ見ていきましょう.Team Solo Mid
今も昔もNA LCSの顔というべきTSMですが,フランチャイズ入りするようです.組織としては必ずしも大きいとはいえないもののスポンサーも多く,今回のフランチャイズ制度というものそのものを導入するに至ったきっかけでもあるReginald氏が率いていたということもあるのでしょうか.
Team SoloMid is the only organization among the four to not take outside investment within the last 18 months.TSMのみ,大きな融資を受けることなくチームを運営しており,資金繰りに関してどうなっているのかは不明なものの,多少の投資を今後受ける可能性があるそうです.CS:GOチームも解散させるほどには(PUBGに移行していますが)LCSチームに入れ込んでいるという姿勢や,当然何度もNA LCSシーンで優勝しているというのも大きいといえそうで,実績を買われての参加のようですね.
Counter Logic Gaming
TSMやC9,TL同様に息の長いCLGもEndemic(元から居た)チームとして来年以降も参加できるとのこと.CLGはもともとRazerが長年デバイスを提供しているスポンサーでしたが,昨年WCSが開催されたMadison Square Gardenを運営するMadison Square Garden companyに買収され,その傘下に入ることとなりました.Madison Square GardenはNA LCSの決勝戦などでも使われていますし,eSportsだけでなくスポーツチームも有しています.
This wil be the first time Counter Logic Gaming has taken on formal investment. The deal was brokered by sports advisory company Catalyst Sports & Media and their two esports executive vice presidents Avi Bhuiyan and Bryce Blum, sources said.今回の買収はCatalysという仲介会社によってなされたとのこと.CLGは10億円以上という参入費用をこのようにして賄ったということなのでしょう.
Cloud 9
NA LCSきってのストリームおちゃらけ野郎達ことSneaky,Meteos,Bunnyといったタレントを抱えつつもなんだかんだでWorldsの場ではLast HopeとなってしまっていたC9ですが,オーナーJackはしたたかに資金調達を上手くこなしていたイメージで,やはり残留が可能とのこと.
Cloud9 is close to finalizing a $25 million Series A financing round following its reported $20 million buy-in to the upcoming Overwatch League, documents filed to the Securities and Exchange Commission revealed.投資会社から25億円以上の投資を受けたと報じられており,その投資者の中にはNFLチームや,RedditのオーナーAlexis Ohanian氏などの名前も出ています.
C9はLCSシーンだけでなく,CS:GOではレジェンドのN0thing選手を擁していたり,PUBGでも話題のShroud選手,スマブラではMong0選手なども所属しているように幅広いゲームタイトルでも強豪となっています.またLoLに次ぐ人気のOverwatchへの投資も盛んで,着実に戦果を上げている様子で,グループ全体の状況としても安定していそうなのが大きいのかもしれません.こういった名実ともに安定した背景には一大PCデバイスメーカーであるLogitechが居たということも大きく関係していそうですね.
Team Liquid
Team Liquidも歴史を見てみると長い印象を受けます.何度かNA LCS残留の危機にあっていたりもしましたが,なんとかフランチャイズ入りは可能なようです.Team LiquidはCSシーンの下部組織としてAcademyがありましたが,TLA出身のLCS選手が居ますから若手選手育成の意味でも重要な役割を担っていました.
Esports franchise Team Liquid has announced its sale of the controlling interest to professional sports team owners Peter Gruber and Ted Leonsis.Owners Steve Archancet and Victor Goossens will continue to serve as owners and co-CEOs of Team Liquid, with Guber and Leonsis as co-executive chairmen of aXiomatic, their esports ownership group.TLはNFLやNBAといった北米スポーツリーグで複数のチームの共同オーナーとなっているPeter Gruber氏とTed Leonsis氏に買収されています.実際には彼らが有するeSportsチーム運営グループのaXiomaticというグループによって管理されることとなります.
Echo Fox
NBAのスター選手Rick Foxによって昨年結成されたチームですが,Froggen選手などを迎えることでそこそこの成績を収めました.参入理由は色々と考えられますが,バックにNew York Yankeesがついたことも大きそうです.
The New York Yankees today announced an investment partnership with Vision Esports, the largest single shareholder of three esports-related companies. The two organizations will create and manage an “ecosystem” of esports properties that include Echo Fox, Twin Galaxies, and Vision Entertainment.松井秀喜選手など日本人の野球選手とも契約している過去がありますが,MLBの巨人が参入してきたことになります.NBA,MLBというアメリカの3大スポーツのうち2つがeSports参入への足がかりとしてEcho Foxを有するeSports組織,Vision Esportsを買収したということになります.
他のチームを強引に動かすためのその“脅し”に協力した見返りとして,そのパイ争いでRiotから特別な待遇を受けられるとしたらどうでしょうか?ダラダラとRiotに抵抗する面々の契約書の枠にサインするより,別の場所にサインしているのではないでしょうか?という具合に流出文書におけるEcho Foxのサイン欄の抜けが読み取れるそうです.ただし2017年のチームを見ていても,それまで好成績を収めたIMTが離脱していたりしていた中でEcho Foxが参入可能だったことに少し疑問をもつ声もなかったりあったりしていました.Echo Foxが参入できた理由に今年始めに出たとある噂が絡んでいたりしないことを願うばかりです.
またストリートファイター部門は日本人のTokido,Momochi,Chocoblankaの3選手と契約をしています.これから手を広げていくといったところなのでしょうか.
FlyQuest
C9の弟チーム(メンバー的には兄?)ともいうべくFlyQuestは一時期成績も目立ったものではなかったことから,フランチャイズ入りが難しいのではないかと言われていましたが参入するようです.チームそのものはNBAチームMilwaukee BucksオーナーのWesley Edens氏に買収されたと報告しています.
Today, Fortress Investment Group co-founder and Milwaukee Bucks co-owner Wes Edens announced the formation of a new eSports franchise, FlyQuest.とりあえずLCSでの足場が固まったとのことで,PUBGやRocket Leagueにも手を伸ばしていくようです.
OpTic Gaming
LoLというゲームがサービス開始するよりも昔からeSportsという世界で戦っていたOpTic Gamingが参入するようです.2006年にCoDのプロチームとして設立され,HaloなどのFPSで数々のタイトルを有している強豪チームです.また今年のeSports Team of The Yearにも選出されています.またYoutubeチャンネルも好評で,現在140万弱の登録者がいるようです.
OpTic Gaming has finalized an investment deal with a group led by Texas Rangers co-owner and Summer Energy CEO Neil Leibman, sources close to the team and group told ESPN.ESPNの報告によればMLBチームのTexas RangersのオーナーであるNeil Leibman氏のからの投資を受けたとのことです.OpTic GamingはFPSでのファンベースを利用してOverwatchリーグへの参入も果たしています.またDOTA2へも参入しており,来年以降更に規模を拡大していくようです.
Golden State Warriors
NBAリーグにおいて3番目,26億ドル(2600億円)以上の価値のあるとされるGolden State Warriorsのオーナーが参入への意思を受け入れられたとのこと.チーム名は未だ不明なもののGolden Guardiansという名前が有力なようです.
Owners of the Golden State Warriors have chosen Golden Guardians as the name of their new North American League of Legends Championship Series franchise, sources close to the basketball organization told ESPN on Wednesday.また,GSWのオーナーグループにいるPeter Guber氏,Chamath Palihapitiya氏はそれぞれTLとC9への投資を行っており,まったくLCSシーンに関係のなかったというわけでもないようです.これから選手を集めていくと報じられており,現状フリーな選手たちの引き抜きが行われるのでしょう.
Cleveland Cavaliers
上記GSWほどではないものの,NBAリーグにおいて11番目,チーム価値としては12億ドル以上とされるCleveland CavaliersはNBAだけでなくNA LCSにおいても彼らと競い合う関係になったことになります.
The Cavaliers have hired former Call of Duty professional player Matthew "Nadeshot" Haag to oversee operations, sources said.彼らはOpTic Gamingでのキャリアを有するNadeshot氏をマネージャーとして迎え入れることで新しいチームの運営を任せる予定としています.チーム名はまだ不明なもののNadeshot氏が所有していた100 Thievesとなるのではという見方もあるようです.GSWとともにNBA 2Kのにも参入する予定としており,本格参入といったところですね.
Houston Rockets
Houston Rocketsは上記2チームと同様にNBAのチームとなります.Houston RocketsはTilman Fertittaという投資家によって22億ドルで買収されており,昨年12月にArchonというチームのCEOであったSebastian Park氏をeSports部門開発のヘッドとして迎え入れています.その開発の一環としてLCS参入の申請をしたと考えられていますが,なぜ彼らが受理されたのかは未だ不明な点も多そうです.
チーム名は地元ヒューストンのニックネームであるClutch CityからとってClutch City Gamingとする予定とのことです.
去りゆく4チーム
OpTic Gaming,Golden State Warriors,Cleveland Cavaliers,Houston Rocketsという新顔を迎え入れることとなったNA LCSですが,チーム枠は変わっていないです.ということは残念ながらフランチャイズ入りを断られたチームもあるということです.ImmortalsはHuni選手やReignover選手といった前年のスター選手と契約することで2016年のNA LCSの春ではほぼ向かう所敵なしの状態でした.今年に入って選手の入れ替わりがあったことから,序盤は芳しい実績ではなかったものの,後半夏では調子を取り戻しているようにも見えます.彼らが拒否されたことは結構な話題になったようにみえ,その理由についてはOverwatchへ入れ込みすぎているからという推測と,NA LCSにおける選手給料爆上がり問題を引き起こしたから(fnaticやCLG,TSMからスター選手を引き抜いている訳です)というものが多いように感じました.また,彼らはスポンサーが少なく,経営状態については不透明だったことも少し影響しているのかなという印象を受けます.
EnVyに関しては,投資を各方面から受けているものの,フランチャイズ入りをOverwatchでも断られていると報じられており,何か裏があるのかと勘ぐってしまいます.またP1についてはディズニーグループでのマネージメント経験も合ったRob Moore氏が運営に携わっていたものの,こちらもフランチャイズ入りを拒否されています.Echo Foxよりかは脈があるのではないかなと思っていたのですが,そうもいかなかったようです.
プロシーンにおいて影響力の強いタレントを数々排出している,Dignitasもまたフランチャイズ入りを拒否されてしまっています.C9 Ray選手,SSG Core JJ選手,P1 Zig選手や日本でも活躍していたShrimp選手,またキャスター・解説のJatt氏,Crumbz氏,ストリーマーのImaqtpie氏,Scarra氏,Voyboy氏などのビッグネームが多数所属していたチームであり,NA LCSに対する貢献というのは大きかったように思います.過去には強豪として名を馳せていたものの,近年での戦績は芳しいものではなく,残念ながらNA LCSからは去っていく存在となってしまいました.
答え合わせは今月中に
ということでフランチャイズ制となるNA LCSの参加チームをざっと見てみました.軽くバックグラウンドを見ている限りではNBAやMLBのビッグネーム達が動いているということで,最早これまでのスポンサーでは太刀打ち出来ないのだろうなという感じです.市場規模
かつてC9 Cが勝ち取ったLCSスポット(現在はFLY枠)が200万ドル前後で取引されていたものがその5,6倍の1000万,1300万ドル程度となっているわけですからその市場規模の急速な拡大を感じられるのではないでしょうか.チームそのものへの投資というのも大きく増えていっている状態になっていますから,もう少し増えていきそうな印象を受けます.そういったスポットを求めて数十億ドルもの市場価値を持つチームや投資家が続々と参入
しており,いよいよ何かが起こりそうな,始まりそうな雰囲気です.誰がその中で主導権を握るのか,メディア権の動きなんかも少し注目となりそうですね.
給料問題
そして気になってくるのが選手の話,特に給料についてで,この点については最近eSports JournalistのTravis Gafford氏がVlogで言及しています.彼が懸念するのはお金で選手を買収していくスタイルが最初の数年見られるのは間違いなく,選手の局在化が起こってしまうと同時に,果たしてその給料がチームが市場から受け取る利益と釣り合うのかすら分からない状態だからだとしています.
RiotはBAMTechと提携し(勿論親会社にはTencentが居ますが)何かを画策しているのは間違いないでしょうが,来年の計画や長期的な戦略を公表はしていません.初期の段階ではBAMTechが投資する予定としていますが,それでも現状のままスタートするとすればRiotもチームも赤字な訳です.
もしBAMTechやRiotの施策が上手く行かず,市場でのマネタイズが計画通りではなかった場合これまでのNA LCSとなんら変わりがなかった,ないしは赤字が増えるだけという結果になりかねない訳です.上記チームには多くの場合非常に強大なスポンサー,親会社が付いているものの,それでも赤字のチームや市場の投資を続けようという判断にはならない訳で,彼らは手を引いていてしまい今の状況と変わらないもの,ないしは赤字がかさみ経費削減でオンライントーナメントになってしまうのではないかとすら冗談で述べています.
そんな赤字な状況の中だからこそ給料にcap,上限を設けたほうがいいのではないだろうか,そうすることでチームの赤字を食い止め,選手の局在化を避ける方向に進んだほうが良いと論じています.
実際に考えてみれば,未だにRiotは具体的な数値というものを明らかにしておらず,例えば来年のチームロゴアイコンをいくらで売るつもりなのか?マーチャンダイズは?来年Springの日程は?優勝賞金は?WCSの賞金は?開催地は?といったチームが運営を考える上で非常に重要な要素を公開していません.フランチャイズ化という変動が合ったと言い訳できなくもないでしょうが,MLBを例としてみれば彼らは9月には2018年のスケジュールを公表しており,チーム・選手もそれに従って計画を立てることができます.
こういった不透明な状況で,選手の給料を上げていくのは市場の破壊につながるとしてcapを設けたほうが良いという主張には一理あるように見えてきます.
未来
基本的に現在のeSportsでそこまで悪いニュースというのは聞かないように思え,懸念がある程度の話が主だったようにみえます.eSportsがオリンピック競技に採用されるかもという浮いた話すら出ていた訳です.しかしながら最大規模のeSports市場を有するNA LCSにおいてフランチャイズ制度が失敗に終わり,ファンベース,プレイヤー数も多いLoLが衰退してしまうとなればバブル崩壊,状況は2000年初期にまで戻るような気すらしてきます.また,選手のキャリアという点についても個人的には課題と思っており,彼らが10代~20代の大事な時期を捧げるのにふさわしい見返りを提供できるような環境の整備というのも大事なのではないかなと感じています.
LoLが大学のカリキュラムに採用されていたり,若手選手の育成にも力を入れることでそいった課題に対応しようという動きが見えますが,それもNA LCSが成功してこそだろうということで,今回のフランチャイズ制度が上手く機能してくれることを祈るばかりです.