SennheiserのGSP 600のレビューをまとめていきます．高価格帯に位置するゲーミングヘッドセットはどのような音質なのか，他製品との有意差はどのくらいあるのかについて確認していきます．
PCゲーマーにとって音響はマウスと同じくらい，大切なデバイスです．今はUSB DACなどのオーディオインターフェースを使うことを考慮すれば選択肢はかなり広まったと言えます．その場合好みのヘッドホン，マイクを組み合わせられるという点では有利ですが，やはりインターフェースやマイクを設置しなければいけない分，場所をとるのが欠点なのではないでしょうか．そういった意味でヘッドセットというのはオールインワンですから，便利といえば便利ですが，一方で音質がイマイチのものが多く，選択肢が狭いのが手を出しづらい一因となっている印象を受けます．そんななかで，Sennheiserがオーディオにも気を使ったヘッドセットGSP 600をリリースしたようなので，チェックしてみます．
発売が3月21日なので，およそ1ヶ月程度経ってます．個人的に面白いなと思ったのがドライバーで，先代のGAME ONEシリーズでは恐らくHD595と同一のドライバーを使っているとされていましたが，今回は少し様子が違うようです．
改良された新しいスピーカーシステムは、ゼンハイザー独自のデザイン＆製造によるもの。新しくなったアルミボイスコイルスピーカーは、サブベース音域を拡張し、ゲームや映画に新たなインパクトをもたらすことによって、比類のないオーディオ体験を約束します。
from Sennheiser
スペック的には周波数特性が10Hz-30,000Hz，インピーダンスが28Ω，音圧が112dBということで他のヘッドホンのドライバーと共用という訳ではないように見え，本当に新設計といったところのようです．少し珍しいですが，アルミボイスコイル採用でインピーダンスも低く，音圧も取りやすいように作られているので最悪PC直挿しでも鳴るようにはなっていそうですが，その場合少しノイズが気になるかもしれませんね．
音量については右側のハウジングに取り付けられたダイヤルで調節が可能とのことで，今風のヘッドセットらしいですね．ワイヤレスではないですし，アナログ接続ですからデジタル的にエフェクトを追加したりといった機能もないようです．
そしてヘッドセットとして気になるのがマイク部ですが，こちらもレコーディンググレードのものを使っているとのこと．公式の動画上で実際に録音したと思しき音声を聞くことができますが，実用レベルだなという印象を受けました．一方でポップガードがないので風が気になる方は付けるのもありでしょうか．一応メッシュのような部分があるので，ある程度は防げていそうですが．跳ね上げればミュートというのも分かりやすくていいですね．ボタン式など機構は色々ありますが，いつの間にかミュートしていて何も話せていないという事故が結構起こったりしますし，こういった物理的な方式はありがたいものです．
ヒンジ部もといハウジング周りも快適なフィット感を生み出すべく努力をしているようです．頭部後方での2軸調節機構は頭の形を考えると，通常の耳上での調節に比べてフィットしそうです．低価格品ではこの部分が経年劣化で緩んでしまったり，割れてしまったりと調節不能に陥ることがありますが，そういった懸念も少なそうです．
レビュー
各所でレビューが出揃ってきているので確認してみます．また、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」とのコラボレーションを紹介する動画を公開。FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONのレコーディングスタジオでは、ゼンハイザーとノイマン（マイクで有名なゼンハイザーのグループ会社）の機材を採用。音の編集段階でも同社製のヘッドセットが使われていたという。
from ASCII
流石にレコーディングで本機を使っていたとは言っていないものの，実際に使用すると想定されるゲーマーに近い環境で収録しているのはありがたい限りです．FFシリーズということもあり音の臨場感という点では，濃い味付けであることが多いSennheiserの音響は適しているということなのかもしれないですね．
同社といえばオーディオ愛好家向けヘッドホン「HDシリーズ」が高い人気を誇っているが、その技術を採用しない理由についてティム氏に尋ねると、「オーディオファイル向けとゲーマー向けでは求められる再生周波数帯が異なる。HDシリーズのような大口径トランスデューサーを搭載することが常に良いとは限らず、それぞれの用途に適した性能があると考えている」と理由を語ってくれた。
from Phileweb
HDシリーズのドライバーを利用しない理由についても簡単に語られています．ゲーマー向け，プロチームとのスポンサーもあることから，特にFPS向けのチューニングについては気を使ったのではないかと期待してしまいますね．FPSではどちらかというと高域側が足音などに繋がるので，その帯域が出ていると好ましい傾向にあります．
from 4gamer
音楽を聴いてみると，変な誇張がない。ドンシャリ型のヘッドセットやヘッドフォンは，よくも悪くもベースがものすごく強いとか，高域がカリカリしているとか，そういう“個性”を発揮するものが多いが，GSP 600は妙な色づけとは無縁だ。
4gamer榎本氏によるレビュー．ドンシャリ傾向でありながら，音が丸いところを指摘しています．Sennheiserはウォームな低音や，刺さらない高音は定評があるメーカーかと思いますがその傾向はしっかりと見られそうですね．つまり音の作りそのものはHDシリーズに似ているとすれば，これまでゲーマーに好かれていた音の傾向に近いと言えそうです．
The same thing happened when listening to my general music collection through iTunes as well. Higher-pitched instruments like violins and pianos in Final Fantasy XV’s orchestral tracks, for instance, constantly sounded like they were struggling to be heard over everything else, and even then they sounded quite dull and muted compared to other headsets I’ve worn in the past.
from ROCK PAPER SHOTGUN
オンラインのゲーム専門サイトROCK PAPER SHOTGUNによるレビュー．筆者はSteelseries Arctis7を気に入っているとした上で，その比較が目立つ内容にはなっていますが全体的な評価は高めです．一方で，ドンシャリ感が気になるときもあるようで，高域が低音に埋もれてしまっているとも言っており，その点については確認が必要かもしれません．
from TECHPOWERUPThe aforementioned weighty, punchy bass, combined with a detailed mid-range and clean highs, does wonders for various music genres. The transition between the bass and mid-range is admirably smooth. There's no annoying 80-100 Hz boost that would make guitar-driven genres sound too bassy and annoying. The vocals are pushed forward a bit and can at times sound a bit shouty, but their excellent clarity leaves little to be desired.
こちらでもやはり低音が強めかつボーカル域の高域が少し前に出てきているという印象のようですが，Gamingの項目ではすべての音を定位良く聞き取れるとしており，どちらも問題なく使用できているとのこと．
This luxurious material is somehow wonderfully good at not heating your ears up to uncomfortable levels and does a great job of cushioning.
However, this is one of the rare cases where I feel these will especially benefit from having a good source to work from.
from Wolf's Gaming Blog
耳周りの快適性は高いと言っていて，ゴテゴテした見た目とは裏腹に（逆にその恩恵から）重さもそこまで感じないようです．音質に関しては上流の影響を強く受ける珍しいヘッドセットとのことで，どんな音響装置も上流の影響は受けるかと思いますが，その中でも古典的なアナログヘッドセットなのでそれもそのはず，といったところでしょうか．
まとめ
オーディオメーカーが肝入りで作ったヘッドセットということで，値段もそこそこしますがヘッドホンが価格なりには鳴っていそうという印象なので，それにマイクとデザインを付加していくとすれば悪くない選択肢になりそうですね．また，アナログヘッドセットですからDAC+アンプなどの組み合わせを楽しめる，オーディオへの入門としても使えるのは悪くなさそうです．
ゼンハイザー (2018-03-21)
売り上げランキング: 4,509
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ゼンハイザー (2017-01-20)
売り上げランキング: 1,199
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あとは開放型であるGSP 500との区別が気になるところですね．
